トンガの今日は

南太平洋トンガ王国 日本語教師 青年海外協力隊

1日1こ進めばオッケー

私が働くトンガ教員養成校(TIOE:Tonga Institute of Education)では、毎学期教育実習があります。

3月は実習の月で、私の学生たちも2年生は4週間、1年生は2週間、それぞれの実習校に通います。

 

その間のTIOE教師陣の仕事は、各実習校を巡回し、実習生の授業を評価したり授業観察レポートをチェックしたりすることです。

残念ながら今学期は日本語の実習がないのですが、せっかくですので日本語専攻の学生の他教科の様子(トンガでは教師は2科目を教える必要があります)を見てみようと、私も学生たちを訪問するため、今月は自転車やらバスやらであっちに行ったりこっちに行ったりしています。

 

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一人の学生はApifo‘ou高校という教会系の高校(私立高校みたいな感じです)で実習をしています。

この高校は直射日光がんがんの中、うちから自転車で片道30分ほどかかります。

今日はこのApifo’ou高校を訪問したのですが、実は3回目のチャレンジで、1回目は行ってみると実習生に会えず断念、2回目は急な時間割変更で着いたら授業がすでに終わっていました。

3回目の今日は、朝やっていた中間テストが長引いているとのことで指定された教室にだれもおらず、あきらめずにぶらぶらしながら待っていると、なぜか別の教室で30分遅れで始まった目的の授業になんとかたどり着き、実習生の授業風景をやっと見学できました。

 

トンガの学校では時間割や教室の割り振りは決まっているのですが、その日タイムスケジュールはその日の朝に決まることが多いです。

今日は1時間目9時からね~ と9時に決めたり、

今日は午後に体育祭の練習するから3時間目からスタートね~ と1時間目の直前に決めたり、

今日は雨がすごいから学校なしね~と みんなが学校に来てから決めたりします。

柔軟性がすごい。

その学校の教師だとなんとかなるのですが、実習生を個別で訪問するTIOEの教師陣にはなかなかタフな状況です。

 

というわけで、実習中も「先生、この曜日のこの時間の授業を見に来てください」と言われて行くのですが、行ってみたら授業が無いというのは日常茶飯事、道中は常に半信半疑、本当に今日授業見れたらラッキーぐらいに思って仕事をこなしていくしかありません。

 

そして往復1時間かけて行ったり、9時に始まるはずの授業10時まで待ったりするので時間の無駄も多い。しかしいちいち腹を立てていたらこの国ではやっていけないわけです。

 

トンガに住んで1年、「予定は未定」っぷりはもはや慣れて何も感じず、「何でもいいから何か1こ今日できればいいか」というテンションで毎日働いています

 

Apifo’ou高校の初日、「教員養成校から来ました、うちの学生を探しているのですが…」とたまたま廊下にいた先生に英語で話しかけたら、にこっと笑って「日本語で話してください」と言われ、びっくりしたことがありました。

この先生、日本語教師の資格があるものの、Apifo’ouに日本語の授業がないため現在英語を教えているトンガ人教師の方でした。

日本語を教えていないので、トンガの日本語教師会の連絡もいっていなかったようです。

新たなトンガ人日本語教師を発掘できた感じがとても嬉しく、自分の学生には会えませんでしたが、教師のネットワークが重要なトンガ日本語教育的にはなかなかいい仕事したなという感じです。

 

他にも授業がキャンセルになってぶらぶらしているときに、中国人の語学教師と知り合えたり(トンガではネイティブ語学教師は貴重)、TIOE卒業生に会ってその後の進路について聞けたり(奨学金をもらって卒業した場合3年はトンガの学校で働くという契約があるそうです)、いろいろなオプション的収穫があった実習でした。

 

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こんな感じで「予定通りその日の仕事が達成できたらラッキー、達成できなくてもトンガの日本語教育のために何かしら1こ出来ればその日はオッケー」と、日々ゆるゆるの達成目標で働いています(※体力はかなり使います)。