トンガタプ島で社会見学
トンガのJICAボランティアは年に一度6月に、全員本島に集合して「隊員総会」なるものを開いています。
今回は活動報告や議事の他に、「トンガタプ島 日本のODA関連施設を巡る社会見学ツアー!」を実施しました。
静岡厚生病院のバスに乗り込んで出発です。
一つ目の訪問地は、中心地からバスで20分ほどのラグーン沿いにあるVaini(地名)の太陽光発電所です。
広い土地にソーラーパネルがずらっと並んでいます。
王様も視察にこられたらしく、王様はこの場所に「Mata 'o e La'a(マタオエラア: Face of Sun)」と名付けてくださったそうです。
二つ目の訪問地は、Tapuhina(地名)のゴミ処理場です。
トンガではすべてのゴミは埋め立てで、日本のように焼却してからの埋め立てではなく、ストレートに埋め立てです。
自然界で分解されるのに、ペットボトルは500年、ガラス瓶はなんと100万年かかるそうです。
日本のようにリサイクルがされないトンガで生活していると、自分が捨てたゴミのなれの果てがとてもよく想像できます。
私のうちで捨てたペットボトルはこの埋め立て地に運ばれ、私が日本に帰国して年をとって85歳まで生きられるとすると、私の死後およそ450年もトンガタプ島に埋まっているんだな…と思うと、ペットボトルを買うたびに罪悪感です。
ちなみにトンガでは生ごみはブタや犬が食べるので、ゴミ処理場はあまり臭くありません。
次に向かったのは、中心地から言うと車で1時間ほどだと思いますが、トンガタプ島西部に位置するNiutoua(地名)の風力発電所です。
沖縄の風力発電の技術で、サイクロンの時はこの塔を倒してやり過ごすことができるそうです。
5つある塔のプロペラ部分は風に合わせてそれぞれ向きや回転速度が変わるとのことでした。
Tonga powerのトンガ人スタッフさんによると自然エネルギーをがっつり始める前は、ボイラー発電が主流だったそうです。
さらにトンガ政府の方針としては、今後自然エネルギー重視でがんがん進めていくということです。世帯数と発電量を考えると、トンガは日本と比べてスーパー小規模なので、エネルギー政策については日本よりエコっぷり(各家庭が自然エネルギーを使っている割合)が簡単に上回るのではと思いました。
スクリーンに映る動き続けるグラフとか、ロッカーみたいなところに積み込まれているコードいっぱいの機械とか、がっつり理系でただただかっこよかったです。
風の中のすーばるー がぴったりの雰囲気でした。
Haamonga(ハアモンガ)という石の遺跡(小さい門)の原っぱでお昼ごはんを食べ、最後に向かったのはToloa(地名)のTupou corredgeが所有する熱帯雨林と博物館でした。
トンガタプ島で熱帯雨林が保存されているのはここだけだそうです。家の周りやその辺にあるのも熱帯雨林だと思っていましたが違うみたいです。
レシ(パパイヤ)はこんな風になるんですね。
トンガには日本にあるような美術館や博物館がありません。
Tupou collegeが敷地の一部に学校の歴史にかかわる資料のほか、トンガの文化資料を保存しており、ここがトンガ唯一の博物館と言えるかもしれません。
部屋を見て回ると日本語のテキストが。かつてはこの学校でも日本語教育があったようです。
あれ、うちわ。
昔のトンガ人はみんなスリムみたいです。
トンガには貴重な伝統やきれいな手工芸技術がたくさんあり、それが現代の生活にも混ざりこんでいるのがとても面白いです。
私的には口承だけでなく、活字や博物館など見える形で歴史を保存していってもらいたいですが、きちきち記録をとったりすることはトンガの人はあまり好きじゃないのかもしれません。
ソーラーパネル、風力発電、ゴミ処理場にはいずれも日本企業の技術者の方や、JICAの専門家が入って、施設そのものの建設や運用の改善に関わっていらっしゃいます。
日本語教育は最悪トンガになくてもいいですが、インフラは満場一致でこの国に必要な技術ですし、やっぱりこういう理系的なODAは本当にかっこいいなとあこがれてしまいます。
というわけで、JICAボランティアの草の根でいそいそ頑張る技術協力の他に、こういう壮大なODA事業もトンガではたくさん進行中です。
なかなか楽しい社会見学でした。
博物館前の巨大ヤドカリ木彫り。「ゆっくり確実に進む」「小さくても強い殻を持つ」が学校のモットーだそうです。