トンガのハリケーンは【ハリケーンGITA直撃】
2月13日火曜日です。昨日12日月曜夜から朝にかけてトロピカルハリケーンGITAがトンガを通過しました。
月曜昼にJICAスタッフの方から自宅を離れてJICA事務所ビルに避難するよう電話があり、私も移動することに。
食料や水をある程度買い置きし、窓からの浸水にそなえて物は机の上に、窓を閉めて、「OKほなあとは自宅でしのげばええか」と思っていたのですが、なめていました。
本当に避難して良かったです。
ビル3階の会議室で夜を過ごすことになったのですが、23時ごろから雨風の音が低く激しくなり、室内にいるのに風を感じ、
最上階(5階)がだめになったと人が降りてきてからは、私達がいる3階も壁や天井がきしみだし、天井から雨漏りが始まり、窓ガラスが一部飛んでいき、建物がかなりの強風と豪雨に当たられていることが感じられました。
中心気圧947hPaカテゴリー5、日本的に言うとめっちゃやばい台風です。
カテゴリーというのはハリケーンの強さを表す尺度で最大5、詳しい方によると屋根が飛ぶぐらい、また瞬間最大風速50mもありえるそうで、トンガの人も初めて経験するような規模だったそうです。
朝になり街の様子をうかがうと、きれいだったヤシの木の多くが倒れ、残っているものも葉が強風にふかれたままの形でかたまってしまっていました。
私はまだ来て1か月で、他の方に比べるとトンガへの愛着もしれたものなんですが、それでも美しかった南国の景色が痛々しいものに変わってしまったことを少し悲しく感じました。
死傷者が報告されていないとのことで大変良かったのですが、それでも街はひどい状態で、自宅を見に戻る道中、レストランがまるまるつぶれていたり、大木が根こそぎ倒れていたり、
携帯会社の看板が倒れていたり(この携帯会社はハリケーンのため家族に連絡をとってください!と無料で全契約者に追加データ量を配布してくれていたのでなんだかそれも切なかった)、
また自宅の前は雨水がたまり池となっていました(どこから来たのか小魚が泳いでいました)。
しかしトンガの人達はのんびりいつものように(私にはそう見えます)早朝から携帯片手に街中を見物にまわっていて、ひっくりかえった衛生アンテナの上でポーズをとっている陽気なお兄さんもいました。
池になった庭で水遊びをしている子供や犬もいましたね。
日本だとこうはいかないのではと思います。
電気会社や水道会社にいつ復旧するのか問い合わせが殺到、道路の復旧を求めて市役所や消防に連絡が殺到、関連の仕事をしている人達は災害翌日から寝ずの対応となるかもしれません。
私もみんなもスーパーに急いで行き(レジにはきっとちゃんと並ぶところが日本の素敵なところですが)、会社に行くべきか、学校はいつ始まるのか、今の時期だったら受験日に変更はあるのか、卒論・レポートの締め切りはどうなるのか確認をとろうとするのでは。
いずれにせよ、日本であれば災害翌日からみんなが大忙しなのではと思うのです。
ところが、トンガでは大忙し、大急ぎという雰囲気がまったくありません。
学校、会社は当然ストップ、だからまずは家の修理というのはみんなの了解事項のようで、とは言え「水が引かないと掃除もできない」とでーんとかまえています。
備蓄もあるのでしょうが、食べ物や水の心配は誰もしていないように見えますし、インフラが止まっていても(書き忘れていましたが、月曜夜から電気、水道が止まっています)焦る様子がありません。
器が太平洋なみにでかいのか、どうも日本人の私と「不便」や「ピンチ」の感覚が大きく違うようです。
ありがたいことに私の部屋は少しの浸水程度ですみ(大家さんと拭き掃除してなんなら前よりきれになりました)、またそんなトンガのみなさんのおかげであまり深刻にならず過ごすことができます。
「災害に強い、弱い」とはどういうことを言うのだろうと疑問に思いつつ、ハリケーン通過の翌日は電気がないため日没(19時半)とともに就寝します。
外では暗闇の中だれかが爆竹と音楽を楽しんでいるのか、笑い声が聞こえています。