トンガ語の「私」は
トンガ語の「私」が気になります。
私が変化するんです。
私、英語の I(アイ) にあたるところですが、
I - My - Me - Mine というやつではなく、(それもあるみたいですがここではひとまず置いといて)、
いわゆる主語の「私」の言い方が変わるようです。
何によって変わるか、
記述したい出来事の時間軸、時制によって変化します。
Na‘a ku kai. (ナッア ク カイ)
私は食べた。
Na'a は【過去】を表す語、ku は「私」、kai は「食べる」です。
‘Oku ou kai. (オク オウ カイ)
私は食べている。
'Oku は【現在】を表す語、ou は「私」、kai は「食べる」です。
過去文の「私」は ku、現在文の「私」は ou になっています。
つまり日本語ですべて「私は」「私が」で表される主語の「私」が、トンガ語では過去完了・過去・現在・未来など、出来事の時間によって変化するということです。
なぜ「食べた私」と「食べている私」がちがうのかトンガ語。
肯定文では、完了、過去、現在、未来に対する「私」はそれぞれ、u、ku、ou、uとなります。
Kuo u kai. 私は食べたことがある。
Na‘a ku kai. 私は食べた。
‘Oku ou kai. 私は食べている。
Te u kai. 私は食べる。
Kuo、Na‘a、‘Oku、Te は時制を表す語で、それぞれ【過去完了】【過去】【現在】【未来】を示します。
u、ku、ou、kai がそれぞれの「私」にあたり、kai は動詞「食べる」です。
上の4つの文はすべて「【時制】+ 私 + 食べる」という構造で、
時制を表す語についてはいろいろな言語でよく聞くのですが、トンガ語は「私」まで変わってしまうみたいです。
授業でこれが導入されたときは、そこで変化させてくる?!と、なんともわくわくしてしまいました。
一方、否定文ではまた別のルールがあり、
否定文の「私」は今度はすべて u で表されるということです(もはやぞくぞくしました)。
複数の「私」の表現すべてに u の音が入っていますが、この u の音が「私」を示す基本的な音なのでしょうか。
「私」以外の「あなた」「彼」「彼女」は変化しません。
日本語では、昨日も今日も明日も私は私ですが、トンガ語の場合は昨日の私と今日の私は異なるようです。