トンガの今日は

南太平洋トンガ王国 日本語教師 青年海外協力隊

トンガの日本語教師会は

f:id:nanakagawa:20181126074035j:plain

トンガ日本語教育では、年に1回トンガ中の先生が集まってミーティング兼勉強会をします。

JLTAT(Japanese Language Teachers Association Tonga)という教師ネットワークで、Facebookでうっすらつながったり、試験問題作りに難があるとちょこちょこ助け合ったりしています。

 

現在トンガで働く日本語教師は、現役のトンガ人教師が10名ほどとJICAボランティアが6名。

各校年間の通常授業が終わった11月末、JLTAT2018がTIOE(私の勤務校)の日本語教室で開催されました。

 

初日の9時半開始時点でトンガ人の先生が2人しかいらっしゃっていなかったのは、まあ南国の愛嬌です。

 

2日間に渡って、来年度のスピーチコンテストや書道コンテストのテーマを決めたり、日本語Tシャツのデザインを決めたり、Planner book(トンガでは教師一人ひとりに授業日誌が配布されます)の書き方についてCDU(教育訓練省)で働く先生から説明を受けたりした他、ワークショップをしたり、書道コンテストのテーマを先生たち自ら練習したりしました。

 

ワークショップのひとつは私も担当し、授業に口頭のコミュニケーション練習を取り入れる方法について提案をさせてもらいました。

問題点は「意味をわからないまま暗記だけして日本語を発している学生が見られること」。

これは今年度のスピーチコンテストや全校統一の口頭試験でも見られた現象で、私は個人的にロボット日本語と呼んでいます。

上達にしばられないトンガの日本語教育だからこそ、言語として意味を理解したうえでのびのび発話してほしい、ということで話の目的は「どんどん口頭練習を増やしましょう」ということです。

 

具体的には、

紹介1:ババウ高校のボランティアが実践している授業の導入方法で、ウォームアップがてら学生同士で雑談(Q and A) →教師と学生ではなく、学生同士でコミュニケーションさせる

 

紹介2:私がTIOEで実践している教科書の会話を使ったロールプレイ →会話を音読するのではなく必要な表現を頭の中で取捨選択させる練習

f:id:nanakagawa:20181126074318j:plain

 

提案1:教科書のドリル練習をノートに書かせたら、必ず口頭で読ませる。そして+1問、学生に好きな語彙を使って回答させ、それでQ and Aをする。「What is your answer?」ではなく「○○さん、家族は何人いますか」のように学生の解答に対応する日本語で質問する。 →授業内にリアルコミュニケーションを増やす

f:id:nanakagawa:20181126074223j:plain

 

そしてまとめとして教科書の前文を引用し、トンガ日本語教育の目的のひとつが外国語でのコミュニケーションを楽しむことである点を指摘しました。

JLPTが入ってきておらず、また日本語学習が人生に直結するわけではないトンガ。

楽しむために外国語を学ぶというのは、私がトンガの日本語教育って特別だなと日々感じている点で、今後も守られていってほしい性質です。

 

さて、JLTATを通してひとつ大きな課題だなと思ったこともありました。

エウア高校が担当してくれた日本人教師とトンガ人教師の協力について考えるワークショップで、「何のためにJICAボランティアがいるのか」という問いかけがありました。

 

JICA日本語教師の共通の見解は、日本人教師の収束、そしてトンガ人の先生たちだけでトンガ日本語教育を運営することが目標なのですが、どうもこの点についてはトンガ人の先生方の共感を得られていないような感じです。

トンガの先生方からは日本人教師には自分達のスキルアップの助けになってくれることを期待しているとの意見もありました。

 

日本人教師がいない学校の先生たちがTIOEや私に気軽にコンタクトできるよう考えるのが、来年の私の課題だなと感じたところです。

 

JLTAT2018、まだまだ参加してもらえないトンガ人の先生もいますが、それでも普段トンガ人日本語教師と関わることが少ない私としては、いろんな先生と会って話せて実りある2日間でした。