トンガの今日は

南太平洋トンガ王国 日本語教師 青年海外協力隊

ばったばったの離島出張は 【1. ババウ島】

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8月から9月のトンガは、クジラの季節でもありますが、高校生の「IA:Internal Assessment」の季節でもあります。

 

トンガではForm5、Form6、Form7(それぞれ日本で言う、高2、高3、高4)の学生は全科目、国の統一試験を課せられます。

その統一試験はIAとEA、Internal Assessment(内的評価、「主観評価」みたいなもんとどこかで読んだ来ますが記憶曖昧です)とExternal Assessment(外的評価)の2つから成ります。

EAのほうはセンター試験のようなもので、全国統一の筆記試験です。

 

そして今回、私が出張に駆り出されたのがIAというやつで、まーあばたつき、終わったころにはほっぺの真ん中ににきびができたほどでした。

 

教科によってばらばらですが、日本語の場合、このIAとは、口頭インタビュー試験を実施しています。

そして前述の通り、「全国統一試験」なわけです。

ということで、評価がぶれないようにもちろん一人の試験官が、全国の学校を回ってIAを実施することになります。

今回日本語科は私が試験官を任され、つまりトンガ内の日本語実施校すべてに出向いて、すべての5年生、6年生、7年生にインタビュー試験をして回ったというわけです。

日本語は全部で6校で、試験をうける学生も50人程度ですからなんとなかなるとしても、他の教科はどないしてんねん、という感じです。

 

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ちなみに7時発の飛行機で、5時に家に教育省の車が来るとのこと。

日程についても直前に変わる変わる、教育省から試験実施校の校長に連絡していない、私から一応その学校の先生に連絡してみると「え、知らんかった!」となる、直前に先生も学生も「え、明日試験しに来るらしいで!」となる、私も自分の授業キャンセルしなあかんくなる、などなど、トンガすぎて腹立たしいことが怒涛のようにありました。

 

そんなわけで「あートンガしばきたい!」と、ずっとぷりぷりしていたのですが、ひとまず音楽と家庭科の先生とババウ島へIA出張に行ってきました(副教科グループだったみたいです)。

 

ババウ島で現在日本語を実施しているのは、政府系のババウハイスクールと、教会系のタイルルババウ高校です。

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実際にインタビュー試験を実施していくと、それでもやっぱり貴重な経験で、ごりごり緊張している5年生から、はにかみつつ頑張る6年生、そしてやり取りに余裕がでてくる7年生と、日本語の上達を縦断的に見れてなかなか面白かったです。

 

何よりも、現場で日本語を教えてくれているトンガ人の先生方と一緒にその先生が教えている学生を見て、その学生のレベルについて話したり、指導方法について意見を交換できたことが良かったです。

現場の先生方と直接話したり、高校に入り込む機会はなかなか無いので、IAという大義名分を持って先生たちとちょっと近づけたのは、なかなかの成果でした。

 

あと初対面のトンガ人の先生たちと、一軒家でともに宿泊するという体験も貴重でした。4人の先生で2ベッドルーム、ベッドが3つ、これ夜どないすんねやろ…とおびえていたら外国人の私に一部屋くださいました。

 

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運営のどたばた加減はともかく、このIAの評価方法を冷静に考えると、日本で言うところの、高校の英語の学習指導要領を書いている先生が、全国の高校生の英語会話力を直接評価してまわる、ということです。

学習指導要領を書いている教師が現場の学生のレベルを直接見て、現場の先生と直接会話し、それをまた教育省に持ち帰って指導要領を改善する。

小さい国だからできているのですが、システムとしてはとんでもなく理想的なことをやっていますよね。

 

一緒にいった家庭科と音楽のIAの様子も見せてもらったのですが、家庭科は、材料は自由で実際に学生が料理を作るそうです。

そして試験官が、健康的かどうかなどの視点で評価するとのこと。糖尿病が問題なっているからね~と試験官のおばちゃん先生がおっしゃっていて、副教科弱いと思っていたトンガのイメージが覆りました。

トンガのための生きる力を評価している…!

 

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音楽の方もおもしろくて、学生が一人でパフォーマンスする評価と、その学校みんなで合奏する評価があるとのこと。

一人パフォーマンスの部は、男の子が舞台に上がったかと思うと、音楽が流れて歌いだしました。しかも聖歌とかでなく洋楽。いいんかいそれで。

舞台袖では彼の音楽の先生がキーボードで伴奏をひいています。

かたわらには同級生もいて、時々先生と同級生がコーラスで歌に入ってきていました。

かわいい。

終わったら教育省から来た試験官と、音楽の先生、学生たちが集まり、評価結果や改善点などについてちゃんと話していました。何話してんのかめっちゃ気になりました。

 

音楽の力、人前で歌えるか、上手に歌えるかがいかにトンガで大事にされているか、改めて思い知らされました。

 

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へんてこな経験となったババウ出張でしたが、ババウ隊員とご飯も食べられたし、クジラ旅行に来ていたおしゃれな東京のお兄さんお姉さんとも偶然会えたし、おみやげTシャツ屋さんにも行けたので、まあよしとしましょう。

次はエウア島です。

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